Ａ 年 ２０１６〜２０１７ 待降節の主日 と 四旬節の主日 |
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待降節第１主日Ａ年 2016年11月27日 グイノ・ジェラール神父
イザヤ2,1-5 ローマ13,11-14 マタイ24,37-44
ノアの時代に人々は、洪水が来ることを予想できませんでした。 昔から人類はその日その日、危険があることを気が付かずに生きています。
私たちは明日のことを考えずに、次から次へと起こる小さなことに捉われて、簡単に大切なことを忘れてしまいます。
そのために私の人生の中に働いている神の現存を見分けることが難しくなりました。
今日でも私の人生の中や世界中でノアの時代と同じように洪水のようなものがあります。
呑気に暮らすことや、パニック状態に陥らないで、責任を取る時がやってきました。
ノアと同じように、私たちも「待降節の箱舟」に入らなければなりません。 なぜなら、それは神の救いと共に新しい世界の約束を受けるための、準備をするためです。
もっと良い未来を歓迎するために、待降節は期待の喜びを私たちに再発見させます。 待ち望むことは、自分たちに何か足りないことを、または誰かが必要だということを承諾することです。
私たちにとっては、救い主が必要です。 ここに集まっている私たちは、自分の人生に神を迎えるために待っています。 「さあ、来てください。 主の光の中を歩もう」（参照：イザヤ2,5）と預言者イザヤは誘っています。 日常生活の味気無さの代わりに、神の命が私たちに溢れるほど与えられています。
神を忘れることは、死への道を選ぶことです。 この死への道を歩むと、ローマ人の手紙で聖パウロが語っているように酒宴と酩酊、淫乱と好色、争いとねたみが人々の思考能力を鈍くします。
神を忘れることとは、お腹が満腹であること、しかし心と頭が空っぽであることに気づかないことです。
「いまや救いは近づいている…だから、光の戦いのために希望を衣として身につけましょう」と聖パウロは勧めています。
待降節の第１の日曜日に当たって、イエスが述べた忠告は希望と信仰のうちに目覚めていて、自分の責任を取るように呼びかけています。
毎日私たちと共におられるとイエスは約束しましたので、私たちは日常生活の中でキリストの現存を見分けるように学ぶ必要があります。
待降節を通して、イエスが私たちのそばに居て、隣人と毎日の出来事の中で働いていることを、私たちは見きわめる必要があります。
私たちの人生は、日ごとに行われる神との出会いでありますように。 そうすれば、神の愛と光が心に沁み込み、私たちを変容させます。
イエスこそ、私の人生の道であることを承諾しましょう。 この道は必ず無事に愛の完成まで導くからです。 待降節の間に、私たちに宣言される聖書の全ての朗読が、私たちに忠実な弟子の態度をとるための助けになればと思います。
キリストに相応しい弟子は、自分の主人であるイエスの到来を待ち望んでいる、目覚めていて尚且つ注意深い人です。 「 キリストに結ばれた者として生活しなさい。 キリストに根を下ろし、自分を築きあげなさい」（フランシスコ会訳 コロサイ2,6-7）とコロサイの信徒への手紙の中で聖パウロが私たちに願っています。
私たちが居る所どこでも、キリストの現存のうちに留まるように努力しましょう。
そして、私たちの祈りと気配りに委ねられている人々、周りの人々のうちにもイエスを発見するようにしましょう。
ちょうどイエスが私たちを見守っているように、私たちもイエスの弟子として、その人々を見守るべきです。
なぜなら、私たちの大切な気配りを通して、イエスは彼らをご自分の愛の深さで覆うからです。
お互いのために祈るように覚悟をするなら、私たちは今日の詩編（122編）の言葉を真実味を持って歌うでしょう。 その言葉は、「わたしの兄弟やわたしの友のために言おう、『あなたのうちに平和』。
わたしたちの神故に、わたしはあなたのために恵みを願おう」（参照：フランシスコ会訳 詩編121,8-9）。 希望に溢れて、私たちの平和であるキリストを喜びのうちに迎えに行きましょう。
アーメン。
待降節第２主日 Ａ年 2016年12月4日 グイノ・ジェラール神父
イザヤ11,4-10 ローマ15,4-9 マタイ3,1-12
私たちが迎えている今の時期は、冬という人間にとって不安な時へと向かっています。 毎日少しずつ太陽の出ている時間が短くなり、気温も低く寒くなり、日が早く暮れて夜が長くなります。
いくらクリスマスと大晦日のお祝いのことを考えても、私たちは楽しい日々が来ることをあまりにも信じていないです。
そのために、今日の典礼は日常生活の目印として希望と回心を提案しています。
預言者イザヤは平和と正義の未来を約束します。 私たちが真の幸せを味わうように、神は新しい世界を創造します。 確かに、黙示録の書が述べていることを前もって預言したイザヤは語りました。
「見よ、神の幕屋が人の間にあって、神が人と共に住み、人は神の民となる。 神は自ら人と共にいて、その神となり、彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる。 もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。
最初のものは過ぎ去ったからである」（黙示録21,3-4）と。
不正と戦争の恐ろしさが、この世界を傷つけているにもかかわらず、私たちは幸せな未来が来るのを望みそれを待ち続けます。
この幸せな未来は約束だけではなく確かなもので、既にここにあります。 なぜなら、イエスは受難と復活によって、既に悪の力と世の罪に打ち勝ったからです。
イエスの愛はすべてを新たにすることによって、望ましい世界を造りあげます。
ちょうど雪の下に隠れている麦の種の中に春の約束があるように、神の国も目に見えない世界の中でゆっくりと成長しています。
すべてを新たにされた時、この世を救った神の愛は、イエスによって永遠に私たちに与えられているのです。
しかし、私たちは神の国の建設のために具体的な努力をしなければなりません。
正義と平和に生き、終わりのない幸せを味わうために、私たちは絶えず心を神の方へ変えることが必要です。 洗礼者ヨハネの後に「悔い改めよ。 よく見よう。 天の国は近づいた」（参照：マタイ3,2と4,17）とイエスも宣言します。 言い換えれば、神の国が近くなるように、私たちが悔い改めることがとても大切だということを理解しましょう。
悔い改めることは、先ず自分の心に神を歓迎することです。
悔い改めることは、また神が私たちを愛してくださることを受け入れると共に、心を尽くして神を愛することです。 「わたしを愛する人は、わたしの言葉を守る。 わたしの父はその人を愛され、父とわたしとはその人のところに行き、一緒に住む」（ヨハネ14,23）とイエスは約束しました。 結局、悔い改めることは、絶えず来られる神を受けるために自分の心のドアを開けたままの状態に保つことです。
悔い改めることは、愛の完成のうちに神と共に一致するという希望を日ごとに強く持ち続けることです。 お互いを愛することによって、私たちはそれを実現します。 ですから、ローマ人に聖パウロが与えた勧めを実行しましょう。
「神の栄光のためにキリストがあなたがたを受け入れてくださったように、あなたがたも互いに相手を受け入れなさい」（ローマ15,7）と。 隣人を愛する人、苦しんでいる人を助ける人、人の過ちを赦す人、世界の出来事を自分の祈りに受け入れる人、これらの人々は既に神の国に入っています。
互いを受け入れ助け合うことによって、私たちは愛と正義と平和の溢れる神の国を目に見えるものとします。
この国は預言者イザヤが預言し、イエスがご自分の死と復活によって実現した国です。
洗礼者ヨハネが強く願っているように、神の国が目に見えるものとなるように悔い改めましょう。
そして「私の回心を具体的に示すふさわしい実を結びましょう」（参照：マタイ3,8）。 アーメン。
待降節第３主日 Ａ年 2016年12月11日 グイノ・ジェラール神父
イザヤ 35,1-6.10 ヤコブ 5,7-10 マタイ 11,2-11
「雄々しくあれ、恐れるな」終わりのない幸せが私たちを待っていると、預言者イザヤは約束します。 「主が来られるときまで忍耐しなさい」と聖ヤコブは勇気づけます。 「行って、見聞きしていることを伝えなさい。 わたしにつまずかない人は幸いである」とイエスは忠告します。 数日後、私たちはイエスのご降誕を祝うでしょう。 益々人間の霊的な世界を無視するこの時代に生きている私たちが、忍耐強く、勇気をもって この世を救う神について証しする必要性は紛れもない事実です。
今日の典礼の色はピンクです。 この色は、まず預言者イザヤの喜びを表しています。 砂漠に芽生えるこの喜びは、段々大きくなります。 「荒れ野よ、荒れ地よ、喜び踊れ、砂漠よ、喜び、花を咲かせよ。 野ばらの花を一面に咲かせよ。 花を咲かせ、大いに喜んで、声をあげよ」と。 この世界と自分の社会に対して、荒れ狂う嵐にも拘らず、この喜びは人の心の中に平和と信頼を強く保っています。
この喜びは、次に洗礼者ヨハネの喜びとなります。 彼は牢の中で、イエスについて疑いを持っていました。 「来るべき方は、あなたでしょうか。 それとも、ほかの方を待たなければなりませんか」とヨハネは弟子たちを遣わして尋ねます。 イエスの答えは、預言者イザヤの言葉で満たされているので、そのお陰で洗礼者ヨハネはもう一度勇気と信頼を見出すことができました。 救い主を告げ、救い主を指で指し示して、その道を整えたヨハネの心に喜びが溢れてきます。 誰もそれを奪うことができません。 自分の身を脅している死刑の可能性でさえ。
神を信じることは、人生の思いがけない出来事や試練に忙殺されても、希望の道を選ぶことです。 希望を失うことのないように、神の賜物である信仰が私たちの心に揺るぎない平和を注ぎます。 信仰はまた、喜び、勇気、忍耐の泉であり、特に私たちがその信仰を証しする時に表されます。 更に、信じることは神に、あるいは友達に信頼を持って、自分の疑いや恐れや解決のない質問を打ち明けることです。
ですから、忍耐強く信頼を保ちましょう。 それは聖ヤコブが勧めたように「秋の雨と春の雨が降るまで忍耐する農夫のよう」です。 また、日の出を待っている見張りのように、私たちも真の曙であるイエスを待ち望みましょう。 勇気を失い、絶望を味わい、誰により頼むのかを知らない人々に、私たちの信仰の証しによって、信頼と希望を与えましょう。 預言者イザヤが願っているように「弱った手に力を込め、よろめく膝を強くしましょう」。
最後に、神が私たちの砂漠で花を咲かすように願いましょう。 この砂漠というのは、私たちの利己主義、自己愛、高慢、過ちを赦せない態度などです。 大勢の人にとって私たちの希望が力の泉となるように、「神が豊かに私たちの上に聖霊の喜びを注ぐように」一緒に神に願いましょう。 アーメン。
待降節第4主日A年 2016年12月18日 グイノ・ジェラール神父
イザヤ7,10-16 ローマ
1,1-17 マタイ
1,18-24
イエスは三十三歳で死にました。 ナザレの村に住んでいた時、村の住民にとってイエスはヨセフとマリアの子供でした。
しかし、イエスが神の国を告げ始めた時から、段々と人々は｢いったいこの人は誰ですか｣と言い始めました。
確かにイエスの態度や奇跡、あるいはその教えが人々を惑わせます。 ある人にとって、イエスは大工ヨセフの子であり、他の人にとって彼はエリヤのような偉大な預言者であり、ペトロと弟子たちにとってイエスは神が約束されたメシア、救い主です。 しかし「メシア」と言う呼びかけに対して、当時の人は皆がそれぞれの希望や違った考えをもっていました。
死刑の宣告を受けても、誰もイエスのアイデンティティーの謎を解くことができませんでした。 まして、イエスが復活しても、弟子たちは彼の神秘をなかなか分かりませんでした。
受難の出来事から五十年後に四人の福音書家が「イエスはどんな人でしたか」と言う質問に答えることを目的として福音書を書き、人々の間で回し読みされていました。
いろんな面で違っているこの四つの福音書は、世界の人々に初代教会の信徒の信仰と、イエスの死と復活に関する良い知らせを伝えようとします。
ペトロの弟子であったマルコは、短い文章を通してイエスは神の子であり、救い主であることを宣言し、｢神の子イエス・キリストの福音の初め｣と書きました。
イエスの弟子であったヨハネは｢私たちの間に宿られ、肉になった神のみ言葉として｣イエスを紹介します。
イエスの弟子であったマタイも、そしてパウロの弟子であったルカも、分かり易い物語を通して「イエスは真の神」であると同時に、彼に体を与えたマリアによって、そして彼に名を与えたヨセフによって、「イエスは、さらに真の人間」であることを証ししています。
預言者イザヤが宣言したように、「イエスは」実際に｢神として私たちと共におられる方｣です。
聖イレネオはこの事実を次のように説明しました。 「イエスにおいて神が私たちの間に住むことを学んだのは、人間である私たちが神と共に生きることを教えるためでした」と。
マリアとヨセフは最初の人として、自分の直ぐそばにおられる神と共に生きることを毎日体験しました。 しかし、それは時々難しかったことを隠さずに聖書は述べています。今度は、私たちに神と共に生きる恵みが与えられています。 ですから、私たちの直ぐ傍に留まることによって私たちを救うイエスをよく迎えるために、聖霊の助けにより頼みましょう。 イエスの名が意味するように｢神は私たちを救う｣のです。 聖パウロはローマ人への手紙の中でそれをよく説明します。
ご存じのようにイエスの名は祝福と豊かな恵みの泉です。
そのために教会は「イエスの名の連祷の祈り」を人間的な評価を超える高価な宝として考えています。 イエスの名によって、神は私たちの親戚や友達や亡くなった人を救います。
イエスの名によって、神は私たちに平和と憩いを与え、私たちの希望を大事に支えます。
イエスの名によって、神は罪を赦し、体の回復、魂の健康を与え、すべての願いを正しく好意的に叶えます。
そうであれば、心に耐えずイエスの名を繰り返しながら、彼の誕生を迎えましょう。
東方教会の信者たちと一致して、私たちも｢神の子、救い主イエスよ、罪びとの私を憐れんでください｣と繰り返して唱えましょう。 なぜなら、この小さな祈りは偉大な、不思議なことを実現しますから。
またこの祈りの言葉を少し変えて、｢生ける神の子、マリアとヨセフの子、救い主イエスよ、私にも世界の人々にもいつくしみを与えてください｣と、クリスマスの日まで、繰り返して唱えましょう。 どのように唱えても、イエスの名が私たちのために喜び、救い、平和と希望の泉となりますように。
アーメン。
主の降誕（夜半のミサ） 2016年12月24日 グイノ・ジェラール神父
イザヤ9,1-16 テトス2,11-14 ルカ2,1-14
皇帝アウグストゥスから全世界の人々に、住民登録をさせよとの勅令が出ました。 この世界でマリアは私たちに救い主を産みました。
天のいと高きところから、神と天使の群れは、生まれたばかりのイエスを仰ぎ見て、天使のコーラスが私たちの地上に神の栄光を注ぎます。 「いと高きところには栄光、神にあれ、地には平和、み心に適う人(即ち、神に愛されている人)にあれ」。
今夜、神が私たちを愛していることを天使たちが思い起こさせます。 「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された」（ヨハネ3,16）。 クリスマスと言うのは、神が私たちを愛していることを発見することです。 また、クリスマスと言うのは、私たちと同じように人間になった神を歓迎することです。
昔、預言者イザヤに委ねられた言葉を思い起こすために、イエスは人間になったことで私たちに教えています。 それは「 お前はわたしの目には貴く、重んじられています。 わたしはお前を愛するから」（フランシスコ会訳イザヤ43,4）。 事実神が私たちを愛しているから、彼の平和が私たちを愛の完成まで導くように、神は人間として生まれ、そして死にます。
ご自分の愛を告げるために、神はキリストの誕生を待ってはいませんでした。 永遠の昔から、神が私たちを愛し、愛によって私たちを造り、そして神の無限の愛は永遠に私たちに与えられていることを、全ての預言者たちは教えています。
今夜、私たちを愛しておられる神の喜びは、天と地に満ちています。 今夜、私たち一人ひとりが無限の愛で私たちを愛する神の喜びを味わうように招かれています。
天には喜びがあれ、地には喜びがありますように。 なぜなら、イエスは人間の心で今まで誰も出来なかった完全な愛をもって、神を実際に愛することが出来るからです。
人間になったイエスは、「霊と真理をもって」（参照：ヨハネ4,23-24）神を愛することを私たちに教えるでしょう。
このようにして、ようやく人間の心で愛されることを神が深く味わうことが出来るでしょう。
クリスマスの神秘は、先ず、愛の神秘です。 私たちに愛し方を教えるために、神は人間になりました。 なぜなら、私たちは「心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、神を愛し、そして自分のように隣人を愛さなければならない」（参照：マタイ22,37-39）からです。
クリスマスの恵みが、神が私たちを愛しているのと同じように私たちも互いに愛し合う可能性を豊かに与えます。 人間になることによってイエスは私たちの心を拡張します。
それは、私たちが神のいつくしみの幅で愛することが出来るようにするためです。 確かに、神の無限の愛にまで、私たちの心が広がる必要性があります。 信仰によってキリストに結ばれている私たちの心の中から、赦し、慰め、平和、希望、忍耐、柔和が、今から後ずっと湧き出る筈です。
昔、預言者エゼキエルに約束されたように、クリスマスの恵みは、私たちの石の心を肉の心、即ち愛する心へと変化させます（エゼキエル36,26）。
結局、今夜の主イエス・キリストの誕生は、人間の心は偉大な愛、即ち神のように無限と永遠の愛を示すことが出来ることを私たちに思い起こさせます。 今夜、このように愛する可能性を受けた私たちは、その喜びを歌います。
また、永遠に一緒に留まるように、私たちの間に、そして私たちの内に住まわれる神に感謝を捧げます。
そして明日、また過ぎ去る毎日毎日を自分の心の沈黙の中で神を見出すことを学びましょう。 なぜなら、平和と愛で私たちを満たすように、神は腕を広げて私たちの心の奥底で私たちを待っておられるからです。
アーメン。
四旬節第１主日 Ａ年 2017年3月5日 グイノ・ジェラール神父
創世記 2,7-9、3,1-7 ローマ 5,12-19 マタイ4,1-11
Ａ年の典礼は、６週間にわたって復活祭の準備を目指す二つのキリスト者のグループのために、５世紀の初めローマで考えられました。 最初のグループは、洗礼志願者のグループです。 彼らは聖土曜日に夜の洗礼を受けるため祈りと断食を通して全身全霊を尽くしていました。 第二のグループは、公に罪を犯したキリスト者のグループです。 彼らは厳しい断食や償いや節制を通して、聖木曜日に司教から公に罪の赦しを受けます。 そして、信者たちの共同体にもう一度入ることを許されますが、彼らが聖体拝領を再びできるのは復活祭の日からでした。
毎年、四旬節のそれぞれの日曜日に、私たちに聞かせる福音の朗読は、洗礼を目指している洗礼志願者にとって、また罪を悔いて神の赦しを求めている信者たちにとって、歩むべき道を示しています。
今日聞いたばかりのイエスが受けた誘惑の話は、サタンを退けて、唯一の神に対する信仰を宣言するように私たちを招きます。 来週の主の変容の話は、全ての人々に与えられている神ご自身の励ましと約束です。
四旬節３主日から第５主日まで、洗礼の秘跡を思い起こすサマリアの女とイエスとの出会いの話、癒された盲人の秘跡、ラザロのよみがえりの話を私たちは聞くでしょう。
今日、教会は私たちに二つの誘惑の話を聞かせました。 アダムとエバはサタンの声に従って、全人類を自分たちの堕罪に引き込みました。
この原罪をあがなうためにイエスはサタンを強く退けながら、彼の誘惑に一つずつ逆らいました。 この話を通して、洗礼志願者や自分の罪を認めるキリスト者に、イエスは真似るべき模範者として与えられています。 また四旬節を回心の時、新たにされる時、悔い改める時として生きようとする私たちにも、イエスは真似るべき模範者として与えられています。
エデンの園とユダヤの砂漠の誘惑は非常に似ています。 全人類の不幸のためにアダムはサタンの偽りの声に耳を傾けました。
イエスは全人類の救いのために、神の真理で満たされている声を聞こうとしました。 父なる神が望むことを実践するために、四旬節の期間は必要な時です。 40日の間に健全な精神をもって、日常生活の様々な選びの中で神の声を聞き分けることを改めて学びましょう。
私たちはいつもの通り、なんの変化も無しに生き続けるつもりでしょうか。 それともキリストの復活を宣言するために、新たにされた信仰を自分たちの身に付ける準備と努力をするのでしょうか。 サタンの楽な道か、神の険しい道か、どちらかを選ばなければなりません。 復活祭の日に私たちが洗礼を受けた日の約束を更新する時、私たちは絶対的な真理をもって次の宣言をするべきです。 「私は父なる神を信じます、私は罪の業を退けます。 神の子の自由のうちに生きていきたいですから。 私はイエス・キリストを信じます。 罪に支配されることがないように、イエスの後に生涯にわたって歩みたいからです。 私は聖霊を信じます。 私はサタンとその働きとおざないを退けます。 聖霊が私を教え導くように強く望みますから」と。
サタンの誘惑は乗り越えるべき試練です。 しかし同時に、誘惑に逆らう私たちの力と決心を確かめる機会であり、また誘惑と戦うことによって、神の愛の完成にまで導かれています。
誘惑と戦う時、私たちは決して一人ぼっちではありません。 三位一体の神は全ての困難に打ち勝つ力と知恵を私たちに与えるのです。 ですから、「神の声を聞くなら、心を閉じてはなりません」（参照：詩篇95）。 アーメン。
四旬節第２主日 Ａ年 2017年3月12日 グイノ・ジェラール神父
創世記12,1-4 2テモテ1,8-10 マタイ17,1-9
ペトロとヤコブとヨハネは、タボルの山で栄光に包まれているイエスを仰ぎ見ました。
その数週間後、彼らは受難の苦しみでゆがんでいるイエスの顔を仰ぎ見るでしょう。 また、ペトロとヤコブとヨハネは、イエスのそばに立っているモーセと預言者エリヤも見ました。
三人の弟子たちにとって、この幻は天国の状態を予想しています。 そのためにペトロは、この時が長く続くように仮小屋を三つ建てようと提案しました。 「主よ、わたしたちがここにいるのは、すばらしいことです」と。
イエスの変容は弟子たちの目を一瞬のうちに開こうとしました。 それは、彼らがイエスの人間性の下に隠れているその神性を発見するためでした。 従って、ペトロとヤコブとヨハネは前もって復活の神秘をも体験し、味わっています。
キリストの体のように、いつか死すべき私たちの体は「栄えと輝きをまとい、光を衣として身を被っている」(参照:詩編104,1-2)という保証を主の変容が与えます。
実際に私たちが変容するためには、イエスと弟子たちを覆っている不思議な雲の中に響く神の声に従わなければなりません。
「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者。 彼に聞け」と。 確かに私たちはイエスを歓迎し、イエスの言葉を聞くことが第一の務めです。 キリストと共に留まるには、仮小屋を建てることは必要ではありません。
むしろ、イエスが私たちを導く所へ彼の後に従うことが必要です。 なぜなら、イエスご自身が「人の間にある神の幕屋」(参照:黙示録21,3)ですから。 人間になったイエスは私たちの永遠の住まいであると同時に、秘跡によって私たちに与えられている永遠の糧であり飲み物です。
イエスは私たちを導き、解放する神のみ言葉なので、私たちはイエスの教えを実践し、聖書で述べられていることを黙想することが肝心です。
祈りは変容するための特別な道です。
というのは、イエスは祈っている時に変容されたからです。 私たちが祈りの時間を取る時、イエスは私たちのうちに働いています。 事実、私たちが祈っている時、私たちの心と考えを妨げるもの、また私たちの信仰と希望を邪魔するもの、そして私たちの寛大さを奪うものすべてをイエスは取り除きます。
私たちが既に「顔の覆いを除かれて、鏡のように主の栄光を映し出しながら、栄光から栄光へと、主と同じ姿に造りかえられている」(参照:2コリント3,18)という保証を祈りが与えます。
私たちは父なる神の愛する子供です。
信仰によってキリストと結ばれている私たちは、世の光であり地の塩でもあります。 日常生活を通して、私たちのうちに働いているキリストを謙遜に発見しましょう。 なぜなら、キリスト者の生き方は終わりなくイエスを絶えず仰ぎ見ることですから。
私たちのうちで祈る聖霊は、終わりなくイエスを仰ぎ見ることの助けになります。 そして、私たちがいつも目覚めている人として忠実に「祈ることに熱心である」(参照:使徒2,42)ように、そしてイエスの教えと神のみ言葉を実現するために注意深い人であるように、教会の秘跡は重大な助けです。
今日、父なる神がイエスをご自分の愛する子として啓示し、イエスの言葉に耳を傾けるように、すべての人を誘います。
四旬節の間に、私たちが祈りの大切さを認識し、同時にキリストと共に親密に生きる使命の再発見ができるように、お互いのために祈り合いましょう。 アーメン。
四旬節第３主日Ａ年 2017年３月19日 グイノ・ジェラ−ル神父
出エジプト17,3-7 ローマ5,1-2,5-8 ヨハネ 4,5-42
神は生きた水の泉であることを聖書全体が教えています。 エデンの園の四つの川をはじめ、リベカ（創世記24,15-21)とヤコブ(ヨハネ4,6-12)の井戸、砂漠で岩から湧き出る水、盲人の目を治したシロアムの池（ヨハネ9,6-7)、多くの病人が癒されたベトザダの池（ヨハネ 5,2)、そして イエスの刺し貫かれた脇腹から流れる水、この全ての水は神の憐れみといつくしみを語っています。 神は砂漠を花畑に変化させる神（イザヤ35,1-10)ご自分の民の渇きを癒す神です。
イエスとサマリアの女が交わした対話は、水の意味について、また私たち自身の渇きや渇望について考えるように誘います。 人は水なしには生きることができません。 同時に渇望と期待のない人生はとても我慢できない、非人間的なものです。 そのために神は私たちの渇きを癒しながら、私たちの心の中の最も本質的な渇望を湧き出させます。 この渇望と期待は「神を見ること」、「神の言葉を味わうこと」、「神のみ旨を行うこと」そして「神と共に永遠に生きること」です。
「もしあなたが、神の賜物を知っているなら」とイエスはサマリアの女に言いました。
そう言いながらイエスは彼女を、絶えず繰り返す人間の根本的な欲求のレベルから、永遠に続く、神を捜し求める霊的なレベルにまで導こうとしました。 ご存じのように聖書の様々な物語の中で井戸はいつも象徴的なものを示しています。
井戸は出会いの場であり、時には喧嘩の場となる（出エジプト2,16-17)ことがあります。 また井戸は結婚を取り結び、仲立ちする場所です。 イサク、ヤコブ、モーセなどの人々の結婚を思い出しましょう。 イエスとサマリアの女が出会う井戸も象徴的な意味を持っています。
言い換えれば、イエスとサマリアの女との出会いは、神と私たちの親しい出会いを提起しています。
「神の賜物を知ること」や「霊と真理をもって神を礼拝すること」は、砂漠の真ん中に湧き出る生きた泉の水よりも遥かに肝心なことです。
イエスの言葉は真理と希望と信頼を湧き出させます。 「この方が、わたしが行ったことを全て言い当てました。
自分たちで彼に聞きに来てください」と恐れずにサマリアの女は村の人々に証言します。
今まで、悪い生活のせいで彼女は人々の咎めの目と言葉を避けていました。 しかし、今では堂々と自由に行動しています。
キリストとの出会いのお陰で、サマリアの人々も彼女と普通の関係を結び直します。
「わたしたちが信じるのは、もうあなたが話してくれたからではなく、わたしたちは自分で聞いて、この方が本当に世の救い主であると分ったからです」とサマリアの女に丁寧に打ち明けます。
イエスの言葉は彼女が気づかなかった根本的な心の渇きを癒しました、それは「神の愛への渇き」でした。
そこで彼女は自分の水瓶を井戸のそばに置いたまま、もうその日は喉の渇きを癒す飲む水は必要ありません。
彼女は神のみ言葉の生きた水を飲みたいだけです。 「さあ、見に来てください」とサマリアの人々を熱心に誘います。
昨日も今日も、イエスはご自分の言葉で私たちの岩のような心を根気強く打ちます。
それは私たちの人生を美しくする生きた水を湧き出させるためです。 イエスの最後の言葉「かわく」と言う願いは、昔サマリアの女に言われた言葉でした。
イエスはこの願いを私たち一人ひとりに申し出ておられます。 槍で刺されたイエスの心から、私たちの渇望を癒すことのできる生きた水が湧き出ます。
ですから「かわく」と願うイエスに、私たちはサマリアの女に倣って「主よ、私たちは渇くことがないように、その水をください」と答えましょう。
そして、「神の賜物を」味わい知るために、イエスの足元に私たちのつまらない望みの水瓶を置いたまま、イエスの言葉を注意深く聞きましょう。
なぜなら、この賜物は私たちの想像を遥かに超えているからです。
「神の賜物を知っているなら、あなたたちは私に生きた水を頼むでしょう。
神の知識を与えるこの生きた水を飲むならば、あなたたちはもう決して渇くことはありません」とイエスは私たちに言われます。
アーメン。
四旬節第4主日A年 2017年3月26日 グイノ・ジェラ−ル神父
サムエル上16,1,6-7,10-13 エフェソ5,8-14 ヨハネ9,1-41
私たちが暗闇から光へ通り過ぎながら光に向かって歩み続けるように四旬節の期間が誘います。
「光から、あらゆる善意と正義と真実とが生じるのです」とパウロが教えています。
世の光であるイエスは、私たちを輝かせるために、また私たちの盲目を癒すために来られました。
イエスの後に歩む人は、今日のアレルヤ唱が教えているように「命の光を持っています」。
生まれつきの盲人の物語は、聖土曜日の夜に洗礼を受ける洗礼志願者の準備として提案されています。
ちょうど生まれつきの盲人が、自分の目を洗い、目の視力を取り戻すためにシロアムの池に行ったように、洗礼志願者も洗礼の水の中で主キリストの光と共に魂の清さを受けます。
生まれつきの盲人は、癒しの恵みを願いませんでした。 イエスこそが彼を見て、直ぐ癒しました。 イエスはいつも注意深い眼差しをもって最初に行動する人です。 この盲人の癒しを目撃した聖ヨハネは、次のように宣言しました。
「イエスはまことの光で、世に来てすべての人を照らすのである」（ヨハネ1,9）と。
癒された途端、盲人は自分の信仰を証しします。 反対する人々の咎めを受ければ受ける程、彼は確信をもって自分の信仰を宣言します。
同様に洗礼を望む洗礼志願者は、自分の人生に働いているキリストについて証しするよう覚悟しなければなりません。 なぜなら、私たちの信仰を批判し反対する人々こそ、私たちが正しく信じること、そしてもっと熱心に証しすることを助ける人ですから。
盲人が自分の目を洗うために行った池の「シロアム」という名前は「遣わされた者」という意味です。 私たちは光であるキリストの証人となるために、洗礼を受け遣わされた者となりました。
「主はわたしの光。 わたしの救い、私は誰を恐れよう。 主はわたしの命の砦、わたしは誰の前におののくことがあろうか」と詩編27編1節が私たちに福音宣教をするように励ましています。
今日の福音は、イエスの言葉によって癒された生まれつきの盲人が、どのようにして信仰の光に辿り着くかを語っています。
またこの物語は、盲人の癒しが目に見える大勢の人を、目の見えない人に変化させたかを教えています。
もし、目を癒すことが簡単であったとしても、人々の偏見と不信の眼差しを癒すことは、とても難しいことです。 目のお蔭で私たちは世界、人々、出来事を見ることができます。 しかし、私たちの眼差しは偏見、恐れ、不信で覆われているので、時々その眼差しは憎しみと差別で曇ってしまうこともあります。
「あなたがたは、以前には暗闇でしたが、今は主に結ばれて、光となっています。
光の子として生きていきなさい」と聖パウロは私たちに思い起こさせます。 ですから、この日曜日に当たって、イエスが私たちの眼差しを清め照らすように願いましょう。 特に、イエスご自身のいつくしみの光を私たちの眼差しに注ぐように願いましょう。 それを願いながら神が預言者サムエルに言われたことを思い起こしましょう。
「人間が見るようにはわたしは見ない。 人は目に映ることを見るが、わたしは心によって見る」と。
ですから、主の光を浴びて、父なる神がいつくしみ深いように私たちもいつくしみ深い者となるように努力しましょう。
アーメン。
四旬節第5主日A年 2017年4月2日 グイノ・ジェラール神父
エゼキエル 37,12-14 ローマ 8,8-11 ヨハネ11,1-45
神は死が大嫌いです。
死は神の敵です。 死は神に反し続けるサタンの業です。 そういう理由で、今日の三つの朗読は死よりも強い命について語ります。
追放されたイスラエルの民は神から遠く離れて、死者のようになっていました。 そこで預言者エゼキエルはイスラエルの民に彼らを「生き返らせる」良い知らせを伝えます。
神は「お前たちの墓を開く。 お前たちを墓から引き上げ、イスラエルの地へ連れて行く。 お前たちの中に霊を吹き込むと、お前たちは生きる。 神がこれを語り、おこなったことをお前たちは知るだろう」と。 神は必ずご自分の約束を行うお方です。
聖パウロは「肉の支配下に生きること」「聖霊の支配下に生きること」という違った生き方を私たちに説明します。
聖パウロにとって、洗礼を受けた人は聖霊のうちに新しい生き方を送るように召されています。
キリストに結ばれている私たちは、永遠に生きるように召されています。 言い換えれば、私たちはキリストと共に、必ず死に打ち勝つように聖霊の賜物を受けました。
ラザロのよみがえりを通して、この希望が私たちに与えられています。 四日前から墓の中に置かれていたラザロは、もう一度イエスから命の恵みを受けました。
しかし、ラザロはまたいつか死にますが、この奇跡は明白なしるしです。 死が支配する場所から、イエスは命の勝利をもたらすことができる、と言う事実を信じ宣言するようにキリストは私たちを誘っています。
死は人の肉体だけを狙っているのではありません。 ご存知のように、心の死、魂の死、希望の死、生きる喜びの死があります。
もう微笑みを浮かべない人々や、感動できない人々、誰に対しても信頼を示さない人々や高慢な人々、あるいは利己主義のせいで自分に閉じこもっている人々は、既にこの死者の数に数えられています。
このような人々にキリスト者の私たちは、命の光や福音の喜び、聖霊のエネルギーを与えなければなりません。 イエスはこのような人々に、はっきりと言います「私は復活であり、命です」と。 数日後、私たちはイエスの復活を祝います。
世界の人々に、復活したイエスだけが真の命を与えることのできる方だと、私たちは宣言しなければなりません。
ですから、いつも命の主である神に向かって、キリストと共に歩みましょう。
また, 教会の秘跡を受けながら、イエスによって神が私たちに与える永遠の命に益々入りましょう。
「もし信じるなら、神の栄光が見られる…わたしを信じる者は、死んでも生きる」とイエスは断言しました。
信仰が私たちに無限の希望と命の充満を与えています。
日常生活の試練や失敗、病気や友達の死でさえ、この終わりのない命から私たちを離れさせることはできません。 ですから、死の力が現れるところで、私たちは自分の信仰によって命の勝利を実践するべきです。祈り、執り成し、愛の業、赦し、慰めの言葉、人々の希望を取り戻すことによって、特に、命の勝利を現すのです。
キリストに結ばれるとは、既に三位一体の神の永遠の親しい関係のうちに生きていることです。
キリストのうちに留まるとは、イエスが私たちの救い主、あがない主であることを体験することです。
また、それはイエスが確信したように「私たちはキリストのうちにあり、キリストも私たちのうちにおられる」（参照：ヨハネ15,4と6,56）ことを体験することです。 ですから、私たちの墓となっている偽の安全や利己主義や悔しい思いから、早めに離れましょう。
イエスの言葉が私たちを父なる神の親しい子供として新たにすることを探し求めましょう。
「永遠の命とは、唯一のまことの神であられるあなたと、あなたのお遣わしになったイエス・キリストを知ることです」（ヨハネ17,3）。アーメン。
枝の主日A年 2017年4月9日 グイノ・ジェラール神父
イザヤ50,4-7 フィリピ2,6-11 マタイ26,14-27,66
今日はキリストの受難の時に注目すべき神の沈黙について考えたいと思います。
イエスはご自分の父に対して最期の苦悩の叫びを上げました。
「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」と。 せっかくイエスは「わたしの父はわたしをひとりにしてはおかれない。 わたしは、いつもこの方の御心に適うことを行うからである」（参照：ヨハネ8,29）と弟子たちに打ち明けたのに。
イエスが完全に神のみ旨を行った正にその時神は彼を見捨てられます。 ほんの数時間前にイエスは「父よ、わたしの願いどおりではなく、御心のままにしてください」（マタイ26,39）と決めました。 イエスは今までの人生の中で、初めて一人ぼっちです。 人生の最期の臨終の時に、彼は全く一人ぼっちです。
イエスは生涯にわたって、父なる神に対して揺るぎない信頼を示しました。 暗闇がカルバリオを覆う時に、イエスの信頼は死と激しく衝突しました。 イエスの苦悩の叫びは、神の光を目指してこの暗闇に大きな風穴を開けます。 「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」と。 この叫びは、父なる神に向けられた、神の独り子としてのイエスの最期の愛の叫びです。
信仰と希望が宣言され、現わされるこの世界からいよいよイエスは離れます。
永遠の流れの中に入るために、イエスは信仰と希望の時から離れます。 永遠というのは、いつくしみと愛の時です。 父なる神のみ旨に従って、私たちを罪からあがなうためにイエスはご自分の体を死に引き渡しました。
父なる神のみ旨に従って、私たちが神と共に永遠の契約を結ぶために、イエスはご自分の血を流しました。 「これはわたしの血の杯、罪のゆるしとなる新しい永遠の契約の血である」と。
私たちの信仰と希望が揺れ動く時、父なる神に向かって私たちが「主よ、なぜわたしを見捨てられたのか」と叫ぶ時、イエスは私たちと共におられます。
ご自分の愛といつくしみで私たちを覆うために、イエスは私たちの直ぐ傍におられます。 それは、槍で貫かれたご自分のみ心のうちに私たちを保護するためです。 そこにおいて愛の燃え上がるイエスのみ心のうちに、私たちが救いと希望を再発見できるからです。 疑いの暗闇が私たちの信仰を攻撃するたびに、ご自分の平和と光で私たちを守るためにイエスは直ぐ傍に立っています。
なぜなら、世の終わりまで毎日イエスは私たちと一緒におられるからです（参照：マタイ28,20）。
以上のことから、神の沈黙は、全ての苦難に助けを与えるいつくしみと愛の沈黙です。
私たちはそれを充分信じているでしょうか。 それを信じるなら、信仰と希望を持って聖週間の沈黙に深く潜水して、神が私たちのうちに実現する救いの神秘をイエスと共に深く味わいましょう。
アーメン。
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